2022年4月17日(日)開催のかすみがうらマラソン大会で、私のこのシーズンのマラソンは一区切りとなりました。
このシーズン、2〜3年ぶりに大会を開催していただいたことに感謝したいと思います。
全ての関係者の皆様、ボランティアの皆様、本当にありがとうございました。
2021〜22シーズン
このシーズンは2本のフルマラソンと1本の30km走への参加となりました。
・「ぐんまマラソン2021」
・「昭和記念公園パークマラソン 30km」
・「かすみがうらマラソン2022」
それでは、振り返っていきます。ハンガーノックとDNFに興味のある方は、引き続きご覧になって下さい。
『第31回ぐんまマラソン』
これは約2年ぶりのフルマラソンの大会への参加となりました。
開催されるのかどうかも分からなかったため、開催されそうだとなってから急ピッチで仕上げたこともあり、前半は良かったものの後半で撃沈。。。
これは私のマラソン人生初のハンガーノックとの出会いとなりました。
ハンガーノックとは【ハンガー(空腹)&ノック(ノックダウン)】
ハンガーノック(英語: Hitting the wall、オランダ語: Hongerklop)は、激しく長時間に渡るスポーツの最中、極度の低血糖状態に陥ること。日常生活中に発生することは稀である。
自動車に例えるならば走行中の燃料切れであり、肉体がエネルギーを失った状態を意味する。この時、自らの意志とは関係なく、体は動きを停止する。脳へのエネルギー供給量も減少するため、意識の低下や思考の鈍化を生じる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
私がその時に私に起きた体感をお伝えします。
30km手前、それまでは何の問題もなく、とても快調に走っていたのですが、少し疲れてきたなと感じたあと突然「スンッ」と電池が切れたかのように、身体から力が抜けて動かなくなりました。
「えっ!。。。何が起きたんだ。。。??とつぜん身体が動かなくなったぞ。。。」
すると、頭痛が始まり、両手に痺れが。
その日は日差しが強かったので「熱中症かな?やばいなぁ」と思いました。
そして予定していた通り、30km地点で最後のジェルを補給。。。
しかしその後「お腹が空いた。食べ物がない。どうしよう?怖い。」という恐怖感が襲い始めました。
なんとかエイドステーションにあるスポーツドリンク(コロナ禍もあり、食べ物が何もなかった)を飲んで凌ぎました。
しかし、最後の2kmは完全にエネルギーが尽き、ほぼ走ることもできず、かろうじて100mくらい走っては止まって、歩いて、止まって歩いての繰り返し。
走ろうとすれば脚もつるし、筋肉痛が始まっているしで、競技場についても何度も立ち止まりながらかろうじてゴールという経験をしました。
これが初めてのハンガーノック体験。
今となればハンガーノックだとその場で理解ができ、冷静な判断や対策もとれるかもしれませんが、当時は何が起きているのかわからず、とにかく歩かずにゴールをしたいという気持ちだけで走っていたのですが、最後はそれも叶わず、歩かないとゴールできない状態にまで追い込まれていました。
ゴール後はすぐさま荷物に残っていた食べ物を全て食べ尽くして少しホッとしたという感じで、脚はバキバキに痛みを感じているという初めての状態に陥っていました。
1週間ほど筋肉痛が残りました。
ハンガーノック対策
対策としてはとにかく糖分を摂取するということ、エイドステーションで他の選手に邪魔にならないような位置であれば、立ち止まってもよいので糖分補給をしっかりすること。
それでも回復しない場合はしばらく休憩をすること。それでも回復しない場合は棄権すること。
ひどくなれば、意識障害にも発展しますし、最悪の場合には死に至ることもあるそうです。
重度ではなかったとしても、エネルギーを作り出すために筋肉をエネルギーに変えようとしてしまうことで、身体への負担も非常に大きくなります。
『昭和記念公園パークマラソン 30km』
この大会へ出場した理由は3週間後に行われる「第70回記念別府大分毎日マラソン」に向けての最後の追い込みと確認という位置付けで出場しました。
私の中では「別府大分毎日マラソン」で初のサブ3達成を念頭に置いていたため、それまで順調に走り込み、疲労を蓄積した中でのこの30km走を、マラソンペースでどれだけ余裕を持って走り切れるのか、そもそもこのコンディションでサブ3ペースで30kmを走ることができるのか、などを確認したいと思っていました。
「別府大分毎日マラソン」で着用する予定のユニフォームやシューズなど、本番さながらの準備をし、全てを確認。
そのようにして臨んだ30kmの結果は予定していたマラソンペースよりも早いペースで、だいぶ余裕を持って完走できたという状況でした。あとはテーパリングに入り疲労を抜き、メンタル面も上げていこうといった状況。
正直なところ、過去1番の仕上がりで、サブ3に一番近づけた状態だと感じました。
がしかし、大会開催2週間前に、大会の規模縮小により、エリートランナーと地元の方のみの開催となってしまい、あえなく挑戦する権利も失ってしまいました。
その後は緊張の糸が切れてしまわないようにと気持ちを「かすみがうらマラソン」に切り替え、今の状態をキープできればよし!と思おうとしたのですが、やはり心のどこかで緊張の糸は切れていたのでしょう。
なかなか気持ちも上がらず、そのうち身体は追い込んできた疲労の蓄積から、次々と故障が起き始めてしまいました。
『かすみがうらマラソン2022』
「別府大分毎日マラソン」が規模縮小により流れてしまい、5ヶ月ぶりのフルマラソンとなってしまったこの大会。
コンディションはあまり良くなくてもやはり大会はドキドキワクワクするものである。
個人的にはこれまで練習してきた成果を発揮する場であり、このシーズンの締めくくりとした大会であった。
サブ3は叶わなくてもそれにどれだけ近づけることができるのかを試したいという位置づけでの参加にした。
新調したユニフォームにゼッケンをつけているときは私の楽しい時間である。
テーパリング期は疲労の蓄積を感じていたので、主に疲労を抜くことに専念した。
号砲までの時間も、予定通り過ごし、スタートラインにも早めに到着し、スタート位置はまずまずの位置を確保。
32kmまではとにかく落ち着いて、冷静に、無駄な力を使わないように、そして最後の10kmを楽しむ。
そんな思いからスタート直後から心を落ち着かせ力むことも飛ばし過ぎることもなく入った1km。
そしてゆっくり走ってるつもりだったがサブ3ペースで走れた2km。
「悪くない走り、状態も思っていたよりいいかもしれない、このまま落ち着いて冷静に身体の声を聞きながら32kmまでいこう。」
そう思った矢先、抱えていた左脚の故障部分のふくらはぎに痛みが走る。
「うっ!完治しなかったのか、違う部位なのか、走っていれば落ち着いてくる痛みなのか、、、」
走りながら、自身と痛みとの対話が始まった。
対話の内容は
- このまま完走できるのか
- せめてハーフまでは走りたい
- 歩いてでも完走できるのか
- 遠くまで行けば行くほど帰れなくなるから今すぐやめた方がいいのか
- 無理をしてまで完走することに意味があるのか
- 故障を悪化させたら、その分その後の練習に支障がるぞ
- どこまで行けばいい
などなど
結果は7kmまで左脚をかばいながら走っていたため、右脚に疲労が蓄積してしまい、このまま42kmを走り切ることはできないと判断し、歩き出しました。
歩きながらも、このまませめて完走とも思いましたが、故障箇所を悪くしては来シーズンに響いてしまうかもしれないという判断により、大会関係者の方に収容バスの位置を聞き、9.5km付近に配置されていたバスまでゆっくり歩いていき、おとなしく収容されました。
これが私の初めてのDNF(Do Not Finish)棄権になりました。
DNFをしてみて感じたこと
一番悩んだことはどこでレースを止めるか。です。
無理かもしれないと思いながらも、やはりゴールを目指して参加しているため簡単に「やめる」という判断ができないこと。
どの距離を走っているのかや、棄権しなくてはならない理由にもよるかと思います。
私の場合はここで無理をして、明日から1ヶ月、2ヶ月と走れなくなることを心配したこと。この大会で故障をおしてまで無理をする理由が見つけられなかっことから、棄権を選択しました。が、もう少し早い位置でやめる勇気があっても良かったかもしれないとも思いました。時にはやめる勇気も必要です。
まとめ
そんなわけでこのシーズンは何だか苦虫を噛んだようなシーズンになってしまいました。
しかし、それと引き換えに、味わおうと思ってもなかなか味わうことができないハンガーノックとDNFを経験することができました。
悔しさや歯痒さを感じましたがこれもいい経験だと、前向きに捉えたいと思います。
DNF後、後続のランナーの全てが通過するまでバスは動けないいうことでしたので、普段では見ることができない、たくさんのランナーさんを、収容バスの窓越しに眺めることができました。
この景色からは感じられたことは、それぞれのさまざまな思いを持ってこのマラソンに参加していること。
一万人いれば一万通りの見える景色と思いが詰まっていて、その全てを大会関係者の方々やボランティアの方々が支えてくれているんだということ。
私たち市民ランナーは、プロや実業団選手と違い、結果やタイムが全てではありません。
結果ももちろん大切ではありますが、同じくらい過程が大切だと私は思います。
その結果が出るまでに何をしてきたのか、どれだけの時間を費やし、何を犠牲にしてきたのか、支えてくれた仲間や家族に感謝できているのか。
大会が中止になったり、思い通りの結果が出せなかった時に、それまでの自分を認めてあげることができるのか。。。
それらができているならきっと、その方はレース以外の部分で、人として大切なものを掴んでいるのではないでしょうか。